事務局ブログ
こおり
2013.09.06 Friday 13:00
「こおり」は、2013年の小学校中学年向きの課題図書です。
「こおり」という本のタイトルから、身近な氷の実験や、氷に関する興味深いエピソードがあるのではないかと想像していました。
しかし、この本は、身近な氷の性質のみならず、その性質によって地球の気候や生態系にも影響を及ぼすことが紹介されています。中でもが地球規模の海流である「海洋深層流」が言及されていて、すごいと思いました。これは、科学的にも未解明な部分が残されている最先端の研究課題のようです。
北極海付近で沈み込んだ塩分の濃い海水が、海洋深層流として、地球をめぐりめぐって、北太平洋とインド洋のどこかでわきあがるようです(注:南極海でわきあがるという説もある)。この海洋深層流は、養分やプランクトンが豊富です。そのため、わきあがる場所では魚がたくさんいるようです。 銚子付近では、漁獲量に恵まれているので、海洋深層流から何らかの恩恵を受けているのかどうなのか、今後の研究成果が待たれるところです。
小学校中学年にしては、内容がやや高度ですが、楽しく読むことができました。
前野紀一(文)、斉藤 俊行(絵), 2012, こおり, 福音館書店, 40pp.
http://www.fukuinkan.co.jp/bookdetail.php?goods_id=22840
「こおり」という本のタイトルから、身近な氷の実験や、氷に関する興味深いエピソードがあるのではないかと想像していました。
しかし、この本は、身近な氷の性質のみならず、その性質によって地球の気候や生態系にも影響を及ぼすことが紹介されています。中でもが地球規模の海流である「海洋深層流」が言及されていて、すごいと思いました。これは、科学的にも未解明な部分が残されている最先端の研究課題のようです。
北極海付近で沈み込んだ塩分の濃い海水が、海洋深層流として、地球をめぐりめぐって、北太平洋とインド洋のどこかでわきあがるようです(注:南極海でわきあがるという説もある)。この海洋深層流は、養分やプランクトンが豊富です。そのため、わきあがる場所では魚がたくさんいるようです。 銚子付近では、漁獲量に恵まれているので、海洋深層流から何らかの恩恵を受けているのかどうなのか、今後の研究成果が待たれるところです。
小学校中学年にしては、内容がやや高度ですが、楽しく読むことができました。
前野紀一(文)、斉藤 俊行(絵), 2012, こおり, 福音館書店, 40pp.
http://www.fukuinkan.co.jp/bookdetail.php?goods_id=22840
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銚子の強風
2013.09.02 Monday 18:30
銚子は、かつて強風のために海難事故がよく発生していました。そこで海難防止のために、今から50年以上前に強風に関する調査も行われていました。
1950年から1955年までの6年間の調査によれば、314回の突風(*)がありました。これは風速10m/s以上を記録した日数の46%(52日分)に相当します。こんなに突風の回数や頻度が高ければ、ある程度の予測ができなければ、海難にも影響を及ぼしそうです。しかし、突風出現の天気図パターンがあるようなので、前もって天気図がわかれば、海難を回避できそうです。
銚子の突風の特徴は、以下のように記載されています。
1.銚子の突風を分類すると図1のように5つの型に大別できる。
2.銚子の突風は図2にように冬から春にかけて多い。
3.銚子の突風の出現は一般に夜間に多い。
(次の2つは、ちょっと難しいかもしれません。)
4.銚子の北寄りの突風は、太平洋(南岸)低気圧、主寒冷前線、二次前線によるものが多く、南寄りの突風は主寒冷前線によるものが多い。
5.太平洋(南岸)低気圧の通過により銚子で北寄りの突風が起こる場合の目安として、低気圧の中心から約300km以内の海上にあり、時速45km以上で移動しながら発達していること。
銚子ジオパークで、野外見学をする場合には、防災上よく理解しておきたいです。
図1 突風型の分類
図2 季節・風向別の突風出現時間帯
(引用文献)
宇田川和夫, 1957, 銚子の強風について(一報), 天気4(5):154-156.
宇田川和夫, 1958, 銚子の強風について(第2報), 天気5(1):25-29.
* ここで言う突風とは、10分の平均風速が1時間以内に5m/s以上増加して10m/s以上になった場合を言う。
1950年から1955年までの6年間の調査によれば、314回の突風(*)がありました。これは風速10m/s以上を記録した日数の46%(52日分)に相当します。こんなに突風の回数や頻度が高ければ、ある程度の予測ができなければ、海難にも影響を及ぼしそうです。しかし、突風出現の天気図パターンがあるようなので、前もって天気図がわかれば、海難を回避できそうです。
銚子の突風の特徴は、以下のように記載されています。
1.銚子の突風を分類すると図1のように5つの型に大別できる。
2.銚子の突風は図2にように冬から春にかけて多い。
3.銚子の突風の出現は一般に夜間に多い。
(次の2つは、ちょっと難しいかもしれません。)
4.銚子の北寄りの突風は、太平洋(南岸)低気圧、主寒冷前線、二次前線によるものが多く、南寄りの突風は主寒冷前線によるものが多い。
5.太平洋(南岸)低気圧の通過により銚子で北寄りの突風が起こる場合の目安として、低気圧の中心から約300km以内の海上にあり、時速45km以上で移動しながら発達していること。
銚子ジオパークで、野外見学をする場合には、防災上よく理解しておきたいです。
図1 突風型の分類
図2 季節・風向別の突風出現時間帯
(引用文献)
宇田川和夫, 1957, 銚子の強風について(一報), 天気4(5):154-156.
宇田川和夫, 1958, 銚子の強風について(第2報), 天気5(1):25-29.
* ここで言う突風とは、10分の平均風速が1時間以内に5m/s以上増加して10m/s以上になった場合を言う。
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アイオン台風
2013.08.23 Friday 19:30
銚子における日最大風速の1887年1月以降の最大値は、1948年9月16日の48.0m/s(風向は南南東)です。このできごとを紐解いていくと、アイオン台風の通過によるものだということがわかりました。この台風は、1948年9月16日静岡県伊豆半島南部をかすめて東京都大島付近を通り、千葉県富崎(館山市)と木更津市の間に上陸しました。その後千葉県銚子市付近から太平洋に出ました。また、海面気圧が963.2hPa(日最低海面気圧が1887年1月以降で第6位)で、低いまま銚子に接近したこと、風向から危険半円の方に入っていたこともあって、大きな被害をもたらしました。
災害救助法も適用されたようです。
図1 台風の進路図
図2地上天気図1948年9月16日03時
(参考資料)
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E5%8F%B0%E9%A2%A8)
気象庁ウェブサイト
(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/1948/19480915/19480915.html)
銚子市消防本部, 2013, 銚子市消防年報, 59pp.
(http://www.city.choshi.chiba.jp/shobo/H21%20syoubounennpou1.html)
災害救助法も適用されたようです。
図1 台風の進路図
図2地上天気図1948年9月16日03時
(参考資料)
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E5%8F%B0%E9%A2%A8)
気象庁ウェブサイト
(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/1948/19480915/19480915.html)
銚子市消防本部, 2013, 銚子市消防年報, 59pp.
(http://www.city.choshi.chiba.jp/shobo/H21%20syoubounennpou1.html)
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銚子を襲った竜巻
2013.08.15 Thursday 19:00
銚子は、風が強いので、風を利用した風力発電が多くみられます。適度な風の強さはジオの恵みとなりますが、強すぎでは困ってしまいます。銚子は、風が強いところですが、それよりももっとすごい強風による被害、恐怖の竜巻が来襲したことが記録されています。
この竜巻は、相模湾にあった低気圧から南西方向に寒冷前線が延びて、北東進していました。この寒冷前線の前面にスコール線があり、これが低気圧から延びる温暖前線との交点で竜巻が発生したと説明されています(茨城1957)。
図1 竜巻の進路(茨城1957)
図2 当時の地上天気図(茨城1957)
以下の記事は、中村(1955)からの記事を抜粋したものです。
「昭和30年10月18日23時40分ごろ千葉県銚子市に発生した旋風によって局地的な被害を起こした。市の名洗・榊・笠上・黒生各町を襲ったが、九十九里浜に面した名洗町では特に被害が大きく、港にあった2トンから5トンの小型漁船39隻が大小破した。中には2〜3メートルも舞い上がって、百メートルも離れた道に落ちた漁船もある(図3)。」
図3 竜巻後のようす(天気1955(2:12)表紙2写真より )
信じられない感じですが、事実のようです。竜巻の被害には遭遇したくないですね。
(引用文献)
中村勝, 1955, 銚子を襲った旋風, 天気2(12), p331.
茨城高, 1957, 銚子半島名洗竜巻について, 天気4(8), p250-251.
この竜巻は、相模湾にあった低気圧から南西方向に寒冷前線が延びて、北東進していました。この寒冷前線の前面にスコール線があり、これが低気圧から延びる温暖前線との交点で竜巻が発生したと説明されています(茨城1957)。
図1 竜巻の進路(茨城1957)
図2 当時の地上天気図(茨城1957)
以下の記事は、中村(1955)からの記事を抜粋したものです。
「昭和30年10月18日23時40分ごろ千葉県銚子市に発生した旋風によって局地的な被害を起こした。市の名洗・榊・笠上・黒生各町を襲ったが、九十九里浜に面した名洗町では特に被害が大きく、港にあった2トンから5トンの小型漁船39隻が大小破した。中には2〜3メートルも舞い上がって、百メートルも離れた道に落ちた漁船もある(図3)。」
図3 竜巻後のようす(天気1955(2:12)表紙2写真より )
信じられない感じですが、事実のようです。竜巻の被害には遭遇したくないですね。
(引用文献)
中村勝, 1955, 銚子を襲った旋風, 天気2(12), p331.
茨城高, 1957, 銚子半島名洗竜巻について, 天気4(8), p250-251.
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今年の夏は、暑いの?
2013.08.15 Thursday 18:30
2013年8月11日は、記録的な暑い一日でした。銚子の日最高気温は34.6℃(1887年以降で高い方から6番目で)、日最低気温は、27.5℃(同、高い方から1番目)でした。翌日の8月12日も最低気温は、26.5℃(同、高い方から6番目)でした。
なぜ、こんなに暑い(暑く感じられる)のでしょうか?その原因の一つとして、局地的に見れば、銚子では、日平均気温の7月に対する8月の上昇量は、県内で最大になることがあげられます(気象庁データより)。これは、銚子近辺の海面水温と関連がありそうです。
また、総観規模でみれば、背の高い夏の太平洋高気圧に覆われているからだと言われています。つまり低緯度地方で上昇した空気が、乾燥して下降(断熱圧縮)するため、暑くなります。図1によると、台風11号によって上昇気流が、いっそう高気圧を促進しています。さらに、上空ではチベット高気圧が張り出しております。これによって、背の高い高気圧が形成されております。
図1 2013年8月11日の地上天気図
(気象庁ウェブサイトより)
図2 2013年8月11日の高層天気図(200hPa)
(気象庁ウェブサイトより)
さらに別の視点から見ると、これまでに、エルニーニョ現象あるいはラニーニャ現象との関わりが指摘されました。しかし、これには例外の年もありました。また、それに似た現象として、インド洋のダイポールモード現象も、猛暑との関係を説明する要因のひとつと考えられています。これは、インド洋の海面水温が東部で低く、西部で高いときに日本が猛暑になるというものです。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%9B%E6%9A%91)
図3 海面水温平年差の予想図 8〜10月の3か月平均。等値線間隔は0.5℃。負偏差に影。
(気象庁全般3か月予報(8月〜10月)解説資料より)
銚子近辺だけでなく、世界における陸地の位置と海水の関係が、気候に影響を及ぼすのは、興味深いと思われます。
なぜ、こんなに暑い(暑く感じられる)のでしょうか?その原因の一つとして、局地的に見れば、銚子では、日平均気温の7月に対する8月の上昇量は、県内で最大になることがあげられます(気象庁データより)。これは、銚子近辺の海面水温と関連がありそうです。
また、総観規模でみれば、背の高い夏の太平洋高気圧に覆われているからだと言われています。つまり低緯度地方で上昇した空気が、乾燥して下降(断熱圧縮)するため、暑くなります。図1によると、台風11号によって上昇気流が、いっそう高気圧を促進しています。さらに、上空ではチベット高気圧が張り出しております。これによって、背の高い高気圧が形成されております。
図1 2013年8月11日の地上天気図
(気象庁ウェブサイトより)
図2 2013年8月11日の高層天気図(200hPa)
(気象庁ウェブサイトより)
さらに別の視点から見ると、これまでに、エルニーニョ現象あるいはラニーニャ現象との関わりが指摘されました。しかし、これには例外の年もありました。また、それに似た現象として、インド洋のダイポールモード現象も、猛暑との関係を説明する要因のひとつと考えられています。これは、インド洋の海面水温が東部で低く、西部で高いときに日本が猛暑になるというものです。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%9B%E6%9A%91)
図3 海面水温平年差の予想図 8〜10月の3か月平均。等値線間隔は0.5℃。負偏差に影。
(気象庁全般3か月予報(8月〜10月)解説資料より)
銚子近辺だけでなく、世界における陸地の位置と海水の関係が、気候に影響を及ぼすのは、興味深いと思われます。
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