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第4回アジア太平洋ジオパーク・ネットワーク山陰海岸シンポジウム

2016.01.13 Wednesday 11:45
2015年9月17-19日に開催された第4回アジア太平洋ジオパーク・ネットワーク山陰海岸シンポジウムに参加しました。にこっ会場は、17日が兵庫県豊岡市、18日がジオツアーで豊岡市から鳥取市まで移動、19日が鳥取市でした。銚子ジオパークからは1名が参加しました。にこっ

 
写真 開会式のようす

17日は、開会式、基調講演、分科会が開催されました。開会式では、書道家が「海岸伝説」と大書きし、日本ジオパーク委員会委員長の尾池先生ほかがあいさつをしました。
 基調講演では、ユネスコ地球科学・地質災害課長のパトリック・マッキーバー氏が「国際的な地球科学とジオパークのプログラム」について講演しました。マッキーバー氏は「ジオパークは、人が基礎である。地元の人の持ち物を誇りとして、自分たちのストーリーを構築することが大事である。」と話しておりました。また、世界ジオパークネットワーク(GGN)の会長ニコラス・ゾウロス氏は、「世界ジオパーク:管理運営、地域社会への貢献、国際的な認知への重要なキーとしてのネットワーク」について講演しました。「ジオパーク活動が成功するためには、効果的な運営体、複合的な分野の連携ができること、創造的で革新的な専門チームがあること」だと話しておりました。


写真 基調講演のようす

18日(金)は、豊岡市から鳥取市まで移動しながらジオツアーでした。今回出席したツアーのテーマは、「リアス海岸に影響を受けた陸海交通と人々の暮らし」でした。
 山と谷が続き平野の少ない山陰海岸での物流は、200年前まで海上輸送が主でした。リアス海岸の入り江は天然の良港となり、そのいくつかはかつて帆船の風待港として利用されました。海岸の岩場にはその時代の船舶の係留跡が見られます。また、100年前には鉄道が整備されました。高さ41mの鉄道橋とレンガ造りの入口のトンネルは急峻な地形での難工事を物語っています。一方、砂州や浜堤の上に築かれた古い街なみには井戸水や川筋を利用した人々の暮らしの跡が残っています。
 香美町の余部橋梁は、長さ310m、高さ41mである。前後に2?ほどのトンネルがあります。付近は、平地がなく、海岸部がリアス式海岸であるため、トンネルと鉄橋が多いです。鉄道の敷設当時、トンネルの技術が高くなかったため、トンネルをできるだけ短くするために、高い場所に鉄道を敷設したそうです。

 
写真 余部のジオパーク看板


写真 余部の旧鉄道線路

 新温泉町の浜坂では、かつて、融雪用の水を得るために井戸を掘ろうとしたら、温泉(78℃)が出てきたそうです。ガイドの方は「土地は、砂地なので、なぜ温泉が出てきたのかわからない。断層、火山もない。」と言っておりました。

 
写真 井戸から温泉

 山陰海岸ジオパーク館は、兵庫県新温泉町の浜坂漁港の近くに位置しています。かつて水族館だったところを改造したようです。2階建てで展示スペースが非常に広かったです。手作り実験装置の展示も充実していました。例えば、鳴き砂(琴引浜)と普通の砂(浜坂)の違いについて、音の有無と構成粒子の違いを顕微鏡で確認できるようになっていました。また、風による砂丘のできかたの実験装置もありました。

 
写真 山陰海岸ジオパーク館(兵庫県新温泉町)


写真 鳴き砂(琴引浜)と普通の砂(浜坂)の違い

 山陰海岸学習館は、鳥取県立博物館付属の施設で、鳥取県岩美町に位置しています。訪れたときには、ちょうど小学生がジオパーク学習をやっているところでした。展示内容としては、日本海の形成に関する歴史について、詳しく展示されていました。また、生きものに関する展示も見られました。


写真 山陰海岸学習館入口(鳥取県岩美町)

 
写真 山陰海岸学習館でのジオパーク学習のようす

 
写真 山陰海岸学習館(内部のようす)


写真 山陰海岸学習館(体験学習のようす)


写真 山陰海岸学習館(内部のようす)

鳥取砂丘は、中国山地の花崗岩質の岩石が風化し、千代川によって日本海へ流されたあと、海岸に集まったものが砂丘の主な砂となっています。海中の砂を海岸に向けて流れ寄せる潮流と、海岸線に堆積した砂を内陸へ吹き込む卓越風の働きで形成されました。
 
 
写真 鳥取砂丘のようす


写真 鳥取砂丘のジオパーク看板

9月19日は、会場が鳥取環境大学になりました。午前中の基調講演では、東京理科大学の黒田玲子先生による「自然と自然からの知恵と共に生きる」というテーマの講演会が開催されました。これは、2009年4月6日にイタリア・ラクイラで発生した地震について、科学は天災地変をどれほど正確に予測できるのかということ、また科学者の責任はどこまであるのかということについて、イタリアの裁判所が大地震を予知できなかったという理由で、世界的な地震学者らに実刑判決を出し、世界科学界が強く反発しているという内容の事例発表がありました。
 これについて、「地震を予知することはきないが、科学者としてアドバイスをする用意があること、科学者は、政策立案者に現実離れした意思決定をさせないようにすべきである。」と言っておりました。
 続いて、「日本ジオパーク・ネットワークと日本ジオパーク委員会」というテーマで、渡辺真人さん、齋藤清一さんが発表しました。「日本でジオパークが急速に増加してきた背景には、人口減少と少子高齢化社会、長期にわたる経済停滞によって、持続可能な地域発展のツールが必要となったためであること、一方、自然災害の多い地域に住んでいるのに、災害に関する認識が不足しているために、科学者は社会教育の新たなツールを求めていたことの両方である。」と話しておりました。

 午後から、一般向けに、「山陰の海とおさかな」というタイトルで、さかなクンのトークショーが行なわれました。見ていた人は200人程度でした。その後、親子向けのイベントが開催され、大勢の親子連れが来ておりました。


写真 さかなクンのトークショーのようす

 
写真 親子向けイベントのようす


写真 親子向けイベントの紙工作のようす


写真 万華鏡の工作のようす

 
写真 鳴き砂と普通の砂の違いを体験するようす


【ブース展示とポスター発表】

写真 台湾のジオパークのブース展示のようす


写真 高校生によるポスター発表のようす

 全体として、APGN2015には、海外から多くの参加者が集まっていました。それだけでもジオパークに関する熱意が伝わってきました。特に、世界ジオパークのない台湾からも8ジオパークから60人も参加していました。
 今回は、ジオパークの中でネットワークの重要性についての発表が多かったです。成功事例などをネットワークで共有することが重要であることを訴えておりました。
 滞在中、山陰海岸ジオパークでは、ジオパークを活用した地域振興が結構見られました。豊岡市のキャラクターにもなっている玄さんを使ったお土産商品、山陰海岸ジオパーク支援自動販売機、山陰海岸ジオライナー、ジオパークロードなどです。銚子でも、良いところは、取り入れていきたいです。

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